スポーツ組織と社会変化
静岡新聞:時評
最近、日本野球機構における統一球に関する情報公開不備の件や全日本柔道連盟における助成金の不適切受理やセクハラの問題などを筆頭に、大小を含めてスポーツ関連組織におけるさまざまな問題が表沙汰となっている。日本野球機構の統一球の問題に関しては、プレーする条件の変更に対しての情報開示を怠った判断およびその体質が疑問視されている。また全日本柔道連盟の間題においては、組織の倫理観および法令の順守に対する責任が問われている。
こうした間題に共通するのはマネジメント能力の不足であり、またガバナンスの問題であるとも言える。また、組織が内部の倫理観に従って行動し、そして社会的責任の大きさを自覚していないことが共通している。こうした傾向はその他のスポーツ組織においても同様に見受けられ透明性の確保や社会的責任を認識している組織は少なく、閉鎖的な印象を受ける。
体質の抜本改革必要
多くのスポーツ団体は法人化されており、したがってサークルやクラプのように内輪の組織ではない。そして公益性を追求するという社会的責任が伴う。この責任を果たすには、社会全体の風潮および変化を読み取り、それに適応することが義務である。もしこのような対応を怠るようであれば、社会的責任を果たせないばかりでなく、前述のような間題がさらに露呈されるようなことになるだろう。
スポーツの指導やマネジメントにういて良く聞かれるのは過去の経験談である。よって、さまざまな事柄は過去の経験に従って決定されることが多い。しかし社会全体の変化が著しく早い現代において、スポーツ組織が過度に経験に依存することは危険であの、社会全体のニーズとのギャップを振大することにつながる。社会変化に対応することは不可欠であり、社会的責任を果たすためのガバナンス強化が必要であろう。そのためには、人事の刷新や多角的な価値観や倫理観を取り入れたマネジメントの導入など、組織の体質に対する抜本的改革を検討すべきであろう。スポーツは社会にポジティブな影響を与えることが要求されている。こうした期待と責任を真撃に受け止め、より広い視野を基にスポーツがマネジメントされることが、現在の大きな課題であると考える。