静岡新聞:時評

ロンドンオリンピックが閉幕してから2カ月が過ぎた。しかし、わが国のオリンピックに関わる活動はさらに熱気を帯びる必要がある。それは、東京が2020年のオリンピック開催都市に立候補しており、来年の9月7日に開催されるIOC総会まで誘致活動が続くからだ。

東京で開催する理念として、平和への貢献、社会への貢献、スポーツ文化の構築などが掲げられている。こうした理念は特に目新しいモノではなく、これらは開催における普遍的な理念と言うこともできる。ではIOCは開催都市に普遍的な理念と同時に何を望むのだろうか。

私自身は、「経済」が大きなテーマではないかと考える。今年開催都市であるロンドンに決定した際、イギリスは好景気であり、また施設が集中するロンドンの東地区の再開発による都市の発展を掲げていた。また次のオリンピック開催都市はブラジルのリオデジャネイロであり、プラジルは経済新興国として世界中の注目を集め、著しい経済発展を遂げている。

長期的な成長促す計画を

こうした事実を見れば、経済も重要な要素ではないだろうか。だから、東京での開催による経済効果も誘致の決定に大きな影響を及ぼすだろう。なぜなら、IOCはオリンピック開催を通じて収益を得る。IOCが現在よりも収益を増やすには、より多くの放映権料やスポンサー料を得なければならない。そのためには、これらの収益源に関わる企業が発展することや、新たな参入企業が現れることも不可欠であり、これらはIOCがオリンピックを通じた開催地域の経済成長および世界経済への貢献によって後押しされるだろう。またこうしたことは、オリンピックおよびIOCの社会貢献活動としても重要な役割を担い、戦略的なマーケティングの一つとなる。

東京も誘致活動の一環として、開催による長期的な経済成長を促す計画を明確に打ち出すべきだ。従来のオリンピックは短期の景気刺激としての役割を果たしている。そこに新たに長期的な経済効果を導くことができれば、オリンピックの価値はさらに高まるだろうし、東京で開催することの意義がさらに高まるだろう。

だからこそ、経済にも目を向け、スポーツの経済に対する貢献を提唱していくこともこれからの時代には必要なのではないだろうか。